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美術館で展示しているアートを分かりやすく鑑賞できるARアプリ「Art++」

2017/05/03
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美術館に展示されている絵画とAR表示している説明文の写真

スタンフォード大学のCantor(カントール)展示会で、訪問者が拡張現実(AR)技術を活用したアプリを起動してスマートデバイスを指定の部分にかざすと、端末画面上が展示品に関する情報でいっぱいになり、来場者をアートの世界の中に誘います。

2016年9月26日までの展示で活用されるARアプリ「Art++(アートプラスプラス)」は、タブレット端末とアプリを使用し、美術館の一部の出展物に関連するデータをスマホ上に拡張して表示。より多くの来訪者を楽しませます。

主に都市風景画を描いたオランダの画家ヤン・ファン・デル・ハイデンの1660年頃の絵画「Houses on a Canal(ハウスオンアキャナル)」から、ポップアートを多数生み出したアメリカの画家、アンディ・ウォーホル(以下ウォーホル)が描いた毛沢東の作品に至るまで、ARプログラムはテクノロジーに焦点を当てた美術館のキュレーションに新たな動きを示しています。

美術館で「Art++」プログラムを率いているMaricarmen Barrios氏(以下、バリオス氏)は、「Art++」を美術館や博物館にとって特別な意味を持つ「解釈ツール」であると説明しています。

アプリの特徴

スマホと画面の中に英文

バリオス氏は、「『Art++』アプリは、ARの研究に興味を持つスタンフォード大学のエンジニアリングの院生と、Cantor展示会スタッフとの間のコラボレーションで開発されました。プログラムの意図は、歴史や文脈および絵画の背後にある芸術の歴史的重要性を、観る人が理解できるようにすることです」と、クリエイティブなアートや技術についての情報を配信しているサイトの「The Creators Project」でコメントしています。

「展示会に訪れる人は、アプリを起動したタブレットデバイスを使用して、絵画の特定の部分に端末をかざします。デジタルによる色あせた絵画の復元や、追加で描き込まれたデータなどを画面上に表示できるところが特徴です」と、同氏は作品におけるAR体験について説明。

「Art++」アプリを通して見ることで、制作過程に関する情報を見ることができます。

アプリの効果

文章とアート

バリオス氏は、「多くの入館者は、ただ来場して作品を見て通りすぎます。ですが、『Art++』を活用すれば、博物館や展覧会などの各施設、機関に導入して様々な展示品のデータをARで表示することができます」と、コメント。

アプリ自体は、画面を中心に見る技術に慣れない子どもから高齢者まで、誰もがAR情報にアクセスできるように設計されています。

同氏は、「来館者の調査研究では、人々が有名な絵画の前に立ち止まっている時間は、平均で10~20秒が一般的な基準。Cantor展示会で『Art++』を提供した入場者は、有名ではない絵画の前にすら、1分に届くほどの間立ち止まってスマート端末を介して作品を観ています。AR技術を活用したアプリが間違いなどではないことが、実証結果から分かります。この効果を考慮すると、AR対応アプリを応用することがアートの楽しみを減らすなどとは思いません」と、コメントしています。

今後の動向

いくつかの美術館は新技術を導入することに神経質になるかもしれませんが、バリオス氏は、美術館にとって自然の成り行きと考えています。

ですが、多くの美術館は新しい技術を実験することに好意的です。美術館は常に実験的な教育プロジェクトのための場とされているため、スタッフのほとんどが次世代に来るものが何であるのか、非常に興味を持っています。美術館教育者としての役割は、観衆が見ているものについて情報を知らせ、来場者が絵画へのより深い理解を得られるようなスキルを提供したいと、考えているようです。

まとめ

美術館や博物館の展示には、あらかじめ説明文が展示物近辺のボードや看板に記載されてはいても、一見しただけでは意味が分かりづらい作品も多々あります。結果として興味を持てずに、作品の前を素通りしてしまうことも起こり得るでしょう。

「Art++」のような子供でも高齢者でも使いやすいARアプリがあれば、絵画の歴史や作成プロセスなどをより楽しく学ぶことができます。新たなテクノロジーに興味を持った人が、家族や友人を誘って美術館を訪れてくれるかもしれません。ARを活用することで、様々な可能性が広がっていきますね。

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