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Google Tango対応のAR家具配置アプリを開発した企業にインタビューしてきた

2017/02/24
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LivingStyleのロゴと、右、坂本COOと左、園田CTO

空間認識技術Google Tango対応スマホ「Phab 2 Pro」を、株式会社大塚家具の外商部門に提供した株式会社リビングスタイル
Tangoテクノロジーを搭載した市販商品としては世界初です。
今回、その偉業を成し遂げた株式会社リビングスタイル COOの坂本尊志氏、CTOの園田一磨氏にインタビューしました。
上記写真右はCOOの坂本尊志氏、左はCTOの園田一磨氏。

Phab 2 Proの特徴など

──Google Tango対応スマートフォン「Phab 2 Pro」の、一番の特徴はなんですか?

園田氏 世界初のTango対応という事でして、主な機能は3つあるんですけれども、モーショントラッキング(追跡機能)、エリアラーニング、デプスパーセプションの機能を用いてARを行うといった所が一番の特徴になります。

──そのモーショントラッキング、エリアラーニング、デプスパーセプションはどの様な用途に使いますか?

園田氏 モーショントラッキングはTangoで現実空間をスキャンするんですが、Tango端末がどこの場所によってどういう位置を向いてるかっていった所を追跡していく機能になります。エリアラーニングは今回のアプリにはARを使ってないですが、物理的な空間をデバイス内の空間に記憶する機能です。デプスパーセプションは現実世界とオブジェクトの距離の把握、いわゆる進路検査ができます。

──アプリをずっと起動していた場合、何時間程度もちますか?

坂本氏 「Phab 2 Pro」は画像トラッキング用カメラ、距離画像センサー 、加速度センサー、磁気センサーなど搭載しています。長い時間そのようなセンサーやカメラの機能を使っていると電池の持ちはおおよそ3、4時間ぐらいですかね。我々が持っているのは試作版バージョンです。いわゆるサンプルですので最終的な製品版は数十日後に出ます。我々は「Phab 2 Pro」の正式版はまだ入手していないので、若干変わってくる可能性はありますね。ですが、ディスプレイが大きくて、とても見やすいです。

園田一磨

ARアプリの名称

──株式会社大塚家具に提供したARアプリの名前はなんですか?

坂本氏 現状のTangoに対応してないもので、すでにApple Store、Google Playに掲載されているものは「IDCAR IDC大塚家具」。「IDCAR」と申し上げましたが、現時点の仮称という事でよろしければ「IDCAR FOR TANGO」という風にしていただけるとありがたいです。まだ正式にリースではないですから。

坂本尊志

開発について

──開発プラットフォームはなにを使っていますか?

園田氏 Unityを使っています。Tango SDKのUnity版がございまして、その環境で開発しております。

──開発に一番苦労した事はありますか?

園田氏 Tangoの端末、情報、アプリが世の中に情報が非常に少ないのと、その中から手探りで少ない情報と公式のドキュメントから色々試しながらやってきたところが、苦労しましたね。

──では一番楽だった事は?

園田氏 楽だった事ですか。難しいなあ(笑)開発で楽だなと思った事はないですね(笑)

園田一磨氏と坂本尊志の写真

次のARアプリの開発は?

──次回のARアプリ開発はなにを?

園田氏 Tango対応スマホ「Phab 2 Pro」は色々なセンサーが搭載しているので空間のスキャニングが手軽にできます。これまで数百万する空間専用スキャナーを使って、現実空間を精査してモデリングしていました。それが5万円(約499ドル)の端末で似たような事ができるところから、例えば中古住宅の内装を3Dスキャンして、リフォーム後のイメージを端末上でシュミレーションなど、今後に応用できるかなと思います。

坂本氏 「壁紙を変えると、こうなります。」「今の床は絨毯ですけどフローリングにすればこんな風になりますね。」とか。そういうリフォームの提案がその3Dのモデリングを通してできます。

今後のARアプリの需要

──今後のARアプリの需要に関してはどう思いますか?

坂本氏 「ポケモンGO」が、市場にとってはインパクトが大きくて、今までARって何?って言われてたんですね。その時はセカイカメラですとか、2010年頃まで話しを巻き戻して、お話しをする必要があったんです。ただAR機能搭載アプリ、「ポケモンGO」がこれだけポピュラーになって、ARっていう言葉がやっぱ市民権を得たと思っていますね。ARっていうと、だいたい皆こういうもんだっていう風に想像ができて、それがあまり実際のものとずれてないっていう状況になってきました。今回Tangoを使ってみて、もちろんそのリアルサイズや衝突検知など、大塚家具様にご提供するアプリでも色んなメリットがありますが、一番特徴的なメリットは、マーカーが要らないんですね。我々はルムコという通常のARアプリを出していますが、かなりの数のダウンロードをしていただいています。家具も10万点ぐらいの家具を集録しているアプリケーションもすでに、この2016年夏から本格的に展開をしています。ただ、マーカーがないとキチっとしたリアルサイズを再生、リアルスケールでスマホの中に表示できない、マーカーを失ってしまうと途端に不安定になるのが、これまでのARの見解でした。このTangoは、デバイス上にマーカーレスで家具を配置して端末を180度後ろに振り返り持っていって、先ほどマーカーレスで家具を設置したところにかざしても同じ所に家具があるんですね。これからは、ARの用途として何もない所にベッド、ソファ、テーブルを置いてという事をやっていくと思うんです。リアルサイズで表示すると、マーカーっていうのは極めて小さくなってしまって、非常に表示が不安定になるんです。そういったところでもTangoっていうのは十分に安定してきちっとモデルが表示できるっていう事がメリットです。後は屋外に持ち出しの場合もそうですね。

──屋外ですか?

坂本氏 例えば住まいの領域でいうとカーポートのガレージみたいな大きな物をここに表示したいと、そうなってくるとマーカーってとっても小さくなるので、非常にARとしてはやりづらいです。Tango対応のスマホを使った場合、大きな物を屋外に表示するっていう事も極めて安定して、リアルサイズで高品質でできる様になってきます。Tangoの良いところは深度センサーやトラッキングなど色々あるんですけど、ARが実用的になるいう感覚はありますね。

──マーカーレスという事ですね。

坂本氏 マーカーレスですね。非常にXYZでは3次元の中で物の位置を特定しますので、極めて安定しています。今までのマーカーは、一回外すとすぐに家具が飛んでいっちゃうんですよ(笑)

園田一磨氏と坂本尊志の写真

ARではなくてMR?

園田氏 面白いのは、TangoはARと言われていますが、実はMR、Mixed Reality(複合現実)のくくりなのかなと。定義がすごくAR、MR、VRの定義が何?ってところもありますが。現実世界の物体とコンピューターの中のオブジェクトが、ただ同居させるだけだったらAR。それが互いに作用する、現実世界の物体とコンピューターの中のオブジェクトが互いに作用するってところが、MRかなと思っています。壁や床を認識しているので、コンピューターの中でオブジェクトのボールを投げれば、あたかも現実世界の壁に当たったかの様に跳ね返ってくると。そこが今までのARとは、全く違くてMRだと思います。ゲームの世界なんかだと、とても面白いと思っています。たとえば、ARでドミノ倒しゲームをプレイすると、端末上の画面は現実空間関係なくドミノが倒れます。Tango対応スマホの画面を介してドミノ倒しをプレイすると、現実世界の壁でドミノがカタっと止める事もできます。そこがMRでもあるんですよね。

──MRですか。

園田氏 そこは今までのものとは全く違います。そういうところが面白いですね。

ARゲームを開発する予定は?

──ARゲームを開発する予定はありますか?

坂本氏 基本的に我々は、住宅環境を豊かにしたいっていう風なところが目標の会社ですので、そのベクトルに沿ったものについては、Tangoなどの新しいテクノロジーをどんどん使っていきたいと思います。現時点では家具のバーチャル配置ですけれども、先ほど園田が申し上げたようにリフォームで使えないかとか、後は屋外ですね。例えば、ガレージかもしれない、物置や植栽かもしれない、そういったとこでも使えないか、住まいに関わるところでは我々はどんどん広げていきたいと思っていますが、なかなか家具を使ったゲームって、あんまり思い浮かばないじゃないですか。もし、いいアイデアがあれば、本当に家具と親しんで頂く事ができれば、それはゲームでもありだと思うんですよね。

AR家具配置アプリの提供について

──株式会社大塚家具と提携していると思うのですが、他の家具販売業者さん、たとえばIKEA社にGoogle Tango対応のAR家具配置アプリを提供する予定はありますか?

坂本氏 IKEA様もARアプリをお持ちですので、そういったところから、質問して頂いていると思うんですが、IKEA様は非常にワールドワイドに展開している大きな会社様で、アプリケーションはIKEA様で開発をされていると思います。現時点で我々、IKEA様の為にお仕事させていただいているかっていうとそういう訳ではないですね。一方で大塚家具様に対しては、2016年9月からVRのシュミレーターとスマートフォンで動作するARアプリをご提供しています。今回それを一歩進めた形でTangoを提供しました。なぜ大塚家具様だったかというと、一つは外商部門をお持ちなんですね。例えば家具を沢山買われるお客様の所に出向いて行かれて何かサービスをする、後は契約で法人販売ですね。ホテル、それからレストランそういった所にも、当然ながらインテリアがあります。ソファ、チェア、テーブルありますよね。そういったところのご提案とか販売っていうのは大塚家具様は非常に得意にされています。そうなってくると、これがコンシューマーに幅広く、行き渡ると思うんですが、これから直近の数ヶ月を考えるとまだ、数としてはそれほど多くない。ということはBtoBのデバイスが、まず最初に普及されるだろうと思いました。例えば新しくできるホテルでインテリアのレイアウトを考えられる時に、大塚家具様のご担当の方が現地に行かれて、これを使ってリアルサイズかつマーカーレスで表示するっていう風なストーリーができたんですね。

今後の展開

──最後にGoogle Tango対応スマホを使った、今後の展開について教えてください。

坂本氏 Tangoを使ったアプリ開発は大変ですが、非常に未来を感じる技術なんですね。我々はTangoに継続的に力を入れて、アプリ開発やご提案、家具の配置、リフォームでの活用、今までなかなかできなかった事が、このTango技術でいくつか解決されるだろうと思っています。我々からのいくつかご提案しているうちに、こういう事できないの?っていう風に、お問い合わせもいただけるんじゃないかと思っています。現時点ではTangoっていうのは、まだまだ時間としては浅いですが、ただ世界中がそういう状況だと思っています。我々は今年で10年目なんですけれども、そういったノウハウなり、住まい、家具っていうところにこだわってきた立場として、この新しい技術をどういう風に皆さんの生活を便利にするのか、というところはやっていきたいと思っています。

──そうですか。今後のご活躍をお祈りします!ありがとうございました。

2017年1月16日追記
株式会社アイリッジおよび株式会社リビングスタイルは2017年1月5日に、三井デザインテック株式会社が提供する会員制インテリアクーポンアプリ「iLMiO」のバージョンアップを開発支援をしたと発表しました。

『iLMiO』がバージョンアップ、『iLMio AR』と連携でARインテリアコーディネイトを実現

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