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ARテクノロジーで日常が学習の場に。米ハーバード大学が公表

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ARテクノロジーで日常が学習の場に。米ハーバード大学が公表

中学生が学校でのことを「クール」とか「ワクワクする」とか「楽しい」こととして説明すると、「自分たちはなぜこれを学んでいるのか」という疑問を耳にするのに慣れてしまっている教育者たちは強い関心を示しがちだ。この点について、Chris Dede教授(以下ディディ教授)と博士号取得のフェロー、Patric O'Shea氏(以下オシェイ氏)は過去数年間にわたりアメリカ教育省スタースクールによる資金提供を受け、追跡調査してきた。それによれば、初期の段階では、教師と生徒の想像力を同じように掻き立てているように思われる。

このプロジェクトは、研究アシスタントのCatherine, Sam Johnston, Rebecca Mitchell、および前博士アソシエート、Matt Dunleavyの協力を得て実行されたものであるが、携帯型テクノロジーのパワーと存在感を活用して、中学生の学習への取り組み意欲を高めることに成功した。資金不足に悩む学校にとって、テクノロジーを活用した学習は学習の平等性への対処も期待できる。

研究

ディディ教授は30年以上前から公立学校の生徒、軍隊、高等教育関係者、および企業とともに、没入型テクノロジーと、科学、教育、テクノロジーが結びついた場合の課題について研究してきた。オシェイ氏の専門は教育技術に焦点を当てた都市研究である。MITやウィスコンシン大学マディソン校の同僚らと連携し、この二人は拡張現実(AR)- 現実の世界の活動に仮想のシュミレーションを重ねたもの - を、中学生の数学と言語の能力を構築すること、および学習に関して興奮を高めること、この2つを目的とした教育用ツールとして利用すべく設計された学習演習の分析を実行している。

ディディ教授は次のように語っている。「この年齢のほとんどの子供は学習意欲を失いがちです。テクノロジーは彼らの意識を再びこちらに向ける方法を私たちに与えてくれました。また、彼らの多くは学習科目は抽象的で実際の社会にはほとんど関係ないものと考えています。彼らに自分たちの地域の中から自分たちを外すという課題を1つ与えると、彼らはすぐに自分たちの課題の関連性を確立します。」

演習

研究チームは形成的評価を行う目的で2つの演習を開発した。最初の演習、「エイリアンコンタクト!」は2006年から2007年の学年度に実施され、ボストン地区の2つの中学校と1つの高校の生徒と教師が参加した。携帯電話とGPS機能付き携帯型コンピュータを渡された各校の生徒は、すぐ近くの場所に案内され、仮想キャラクターにインタビューし、謎のエイリアンの侵略に関連するデジタルアイテムをチェックするよう指示された。数学と読書き能力の課題に取り組むことで、生徒たちはエイリアンが上陸した理由を判断できた。同じテクノロジーを用いつつ、「エイリアンコンタクト!」から学んだことを取り入れ、チームは2008年に2番目のカリキュラムを試験した。Gray Anatomyは参加者らに、灰色の鯨が自力で近くの浜辺に乗り上げた理由の謎を解くよう指示した。どちらの演習でも、生徒たちはグループで作業にあたり、グループの生徒たちには一人ひとりに役割が与えられ、様々なヒントや回答すべき質問が与えられた。パズルを完成させるためには、事実に基づく知識だけでなく、効果的な対話と協力も必要だった。

エイリアンから学んだこと

オシェイ氏は次のように語っている。「ARカリキュラムをデザインすることに関しては、私たちは試行錯誤で学んでいました。青写真がない場合、うまく運ぶことが一部あります。しかし、驚くこともいくつかあります。「エイリアンコンタクト!」での意図せぬ結果の1つは、どの程度グループが演習を他の生徒グループよりも先に終わらせるレースとしてみていたかということです。競争は必ずしも悪いことではありません。しかし、最後まで競争させるのか、それとも近道するのかを選択しなければなりませんでした。」Gray Anatomyでは、チームはあまり直線でないコースのカリキュラムを選んだ。「Gatewayのキャラクターは他のキャラクターも数多く参加させてどんな順番でもこのレースに参加できるようにした。だから、生徒たちは他のグループの状態を見て自分たちが進んでいるか遅れているかを確認できるチャンスはかなり少なかった」と、オシェイ氏は付け加えた。

問題が山積み

関連した問題として、カリキュラムの開発者は、「エイリアンコンタクト!」の最初のバージョンの生徒たちは認知過負荷を経験したことに気がついた。「彼らは50分間の時間制限の間に要求されたすべての相互作用にざっと目を通して完走しました。しかし、彼らには受け取った情報を処理する時間は本当になかったのです」と、オシェイ氏は語っている。新しいバージョンの「エイリアンコンタクト!」とGray Anatomyでは、チームは各セッションの相互作用の回数を6回に制限した。

音声教科過程を作成

ディディ教授もオシェイ氏も、カリキュラム開発 - テクノロジー開発ではない - は、教育用ツールとしてのARの潜在力の鍵であることを認めている。「音声カリキュラムを作成しなければ、そのテクノロジーがどれほど優れていても関係ない。新しいものはやがては消えていくものだ。そして振り出しに戻る」と、オシェイ氏は語っている。

ディディ教授は、テクノロジーを「解くべき問題を捜し求めるソリューション」として考えないようにしていると語った(註:通常は、まず問題が存在して、それを解決するソリューションを作る)。「私は教育において常に存在して取り組み甲斐のある問題について考えています。そして、テクノロジーが何らかの改善をもたらすことができる方法があるかもしれないことを確認することにかかわるような教授法やコンテンツ、評価、教師のプロとしての成長、保護者の参加、およびその他の変数に立ち戻るのです」と、語った。

ARの潜在力を測定する

ARが改善をもたらすことができるかどうかを判断するため、ディディ教授のチームは生徒たちがARテクノロジーを使って作業する前と後で彼らの数学および言語能力をテストした。また、演習の前後の感情についても、計測器を使って測定された。そしてその結果をARのボードゲームバージョンに参加した生徒たちのものと比較した。

テストの余波

テストの結果、AR演習に参加した生徒とボードゲーム版の課題を実行した対照群の生徒との間に課題の習熟度における有意差は認められなかった。しかし、演習のビデオテープと生徒たちのコメントを見ると、このテクノロジーは生徒の想像力を掻き立てるのに非常に効果的であることが分かる。演習の経験を振り返って、ある生徒は次のように語った。「携帯型ツールはかっこいいよ。教室の外で、携帯型ツールを使って数学と英語を勉強できたんだ。ずっと楽しかったよ。」また別の生徒は、「携帯型ツールを使うのはすごく楽しかったわ。新しくて、実際には学校ではしないようなことだけど。。ワクワクしたわ」と語っている。

「私たちはテクノロジーが生徒たちを引き込み、協力を奨励するのに非常に優れていることを立証しました。しかし、それが明確に進むべき道であることを証明する学習上の進展を示すことができたとは思いません」と、ディディ教授は語っている。彼は計測可能な程度の進展がなかったことには驚かないと強調し、さらに続けて「私たちはこのような種類のカリキュラムを作る方法について研究しています。また、教師たちはそれを教える方法について学習しています。学習の進展のための本当の潜在力が確認できるまでには、まだ数世代かけてデザインされることになるでしょう。」

課題を与え、自らマスターする

オシェイ氏は教師たちにこの課題を与えることを強調している。彼らはテクノロジーを自分たちでマスターしなければならない。また、新しい方法でのテクノロジーの利用は生徒たちに任せ、その上でその過程を管理しなければならない。「最後の管理は簡単ではありません。たとえば、私たちがフォーマットを変更してその結果、Gray Anatomyの生徒たちが「エイリアンコンタクト!」の生徒よりでたらめな経路を進んでしまったとき、教師が生徒の焦点と進捗状況を評価するのことがさらに難しくなりました。」と、オシェイ氏は述べている。

テクノロジーと授業の将来

テクノロジーの急速な改善は、教師のARや他のテクノロジーベースの学習ツールを活用する能力を加速すると、ディディ教授は信じている。「私たちのAR演習を実行したとき、このテクノロジーはカリキュラムをサポートするのに堅牢性が不十分で何度も誤作動を起こしました。GPSインターフェースでは特にそうでした。現在、企業はすでに、iPhone、Google Android、そしてその他の"スマート"フォンを使って、このプラットフォームをより強力なツールに変えています」と、ディディ教授は語っている。このテクノロジーがモチベーションや情報、体験を提供する間、教師たちはAR学習の「中心」にいると語っている。その理由は、「生徒たちはデータの解釈と複雑な状況の解読に長けた人からの指導を常に必要としているからです」ということだそうだ。

サービスの予測

「5年以内に」と、彼は予言している。「どの子供も、サービスが十分に受けていない地域の子供でも、携帯電話を1台持つことになるでしょう。そして今保護者にノートパソコンを買うようにお願いしている学校は、同じ目標を達成するのにより廉価な方法があることに気が付くでしょう。」自身の現在のAR研究への資金提供は縮小しているため、ディディ教授は何社もの携帯電話とワイアレス通信会社に働きかけ、この次世代のテクノロジーを使用した研究のパートナーを見つけようとしている。

方法を模索

ディディ教授は次のように付け加えた。「このテクノロジーを活用する方法を引き続き模索する必要があります。アプローチの一つとして、学校でARカリキュラムの一部にするということが考えられますが、学校の外で活用するアプローチはさらに協力になると思います。子供たちは社会勉強のプロジェクトとして携帯電話を使って自分たちの地域からデータを収集し、ショッピングモールでは経済について何かを理解し、美術館では展示品についてより深く背景を学習し、墓地では歴史について知識を深めるでしょう。」

オシェイ氏は一つのシナリオを提案した。それは、クラスメートが「フリーダムトレイル」などの地域の名所旧跡を調べて質問に答えるという練習問題を生徒たちが自ら設計するというものだ。そして、「教師が落第する確立の高い生徒に声をかけ、有意義な方法で実質的な環境で学習するよう励ますことができるとしたら、重要な目的の遂行に役立つテクノロジーを使うことになるはずだ。私たちは学習をゲームと置き換えるつもりはない。私たちは生徒たちがより高いレベルの結びつきを作ろうとやる気を起こす物事を認識し、活用することを力を入れている。そうしなければ、テクノロジーが進歩するに従って、学校の生徒たちはぼんやりと日を送ることになるだろう」と締めくくった。

Augmented Reality Technology Brings Learning to Life

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産業翻訳者。職業柄、日常的に技術系の最新情報に接しており、その中でもAR技術は情報量が突出しています。